劇場版 北斗の拳 ラオウ伝・純愛の章

2006年3月11日公開
原作/武論尊・原哲夫
監督/今村隆寛
脚本/堀江信彦・鴨義信・真辺克彦
キャラクターデザイン/
   荒木伸吾・香川久・清水貴子・佐藤千春
総作画監督/佐藤正樹
美術監督/
坂本信人

2005年8月の終わり、山内監督から電話が入った。「劇場作品の色彩設計できるひと紹介してくれって頼まれたんだけどね…」と。それが「北斗の拳」だった。その翌週、制作スタッフと会い参加が決定。すでにその時点で特報第1弾の作業は終わっていたので、僕はその特報の「直し」から参加。そしてそこから半年間、大泉ー中野ー新井薬師の移動生活が始まる。

ま、ここでは書けないことだらけなのだが(笑)、とにかく実にいろんなことがあった濃い半年だった。

とにもかくにも原作ありき、なので、吉祥寺にある原先生の事務所に何度も伺って、メインのキャラクターの色味を詰めた。で、その事務所がまた、意外な場所にあってビックリ(笑)。

全体のキャラクターの色と色彩設計を担当(但し"別班"製作のシーンは、"大人の事情"から私はノータッチ)。それとDVD用追加新作パートは、色指定・仕上検査も。本編では、実に9人の色指定さんたちと一緒に仕事をした。なかなか僕の作業が色指定に追いつかず、たいへんご迷惑をおかけしてしまった。それでも皆さんいい仕事をしてくださって感謝感謝である。イマジカでの初号試写の際、その9人が一堂に会した。いやぁ感動であった。エンディングのクレジットは実に壮観だった。

リングにかけろ1 日米決戦編

2006年4月6日よりテレビ朝日で放送
全12話
公式サイト
http://www.toei-anim.co.jp/tv/rin-kake1_vsUSA/
原作/車田正美
シリーズ構成/黒田洋介
シリーズディレクター/貝澤幸男
キャラクター・デザイン/荒木伸吾/姫野美智
総作画監督/窪秀巳
美術デザイン/鹿野良行

一昨年の「リングにかけろ1」の続編。今回もほとんどの話数をグロス制作で発注という方式だったので、まぁホントにいろんな問題噴出であった。やれやれ。さらに演出陣がベテランの演出さん揃いだったため、全体に手堅い、というか普通、というか。前作ほどのはっちゃけ感が無かったのが少し残念(苦笑)。

今回もシリーズ全般の色彩設計と#OP&EDの色指定、そして#12の色指定も担当。

しかしまぁ、それにしても、どうしてこうもスケジュールが無いのか?正直言ってあまりお奨めできる画面に仕上がっていないのは事実。毎度毎度、製作スケジュールの最短記録を更新しまくっているが、すべてそのしわ寄せは画面に現れることになる。これでいいものが出来るハズもない。正直、今の東映のテレビ作品は、どれも最低レベル更新中だ。

脳内エステ IQサプリ 「ドラゴンボールZ」

2006年3月25日放送
フジテレビ「脳内エステIQサプリ」
演出/長峯達也
作画監督/山室直儀

まるでテレビ見なくなっちゃったんで知らなかったんだけど、フジテレビのバラエティ番組「脳内エステIQサプリ」というのがあって、その「春の特番」内で使用するクイズ用の短編アニメ。

「劇場版 ドラゴンボール 最強への道」以来、かれこれ10年ぶりのドラゴンボール(笑)。ああ、懐かしい(笑)。山室さんの作監修正の載った原画手にすると、なんだかんだ言っても胸ときめくものが(爆)。しかも、僕的には初のデジタル彩色でのドラゴンボールである。

やっぱりね、いいですよ!ドラゴンボール。リメイク、あるいは新作作るなら、ここ1〜2年が勝負だと思うんだけどな。もろもろ事情があって、なかなか出来ないんだろうが、確実に"時季"が来てると思うんだが。

パチスロ 北斗の拳

2007年夏市場投入
原作/武論尊・原哲夫
監督/
平野俊貴
キャラクターデザイン総作画監督/佐藤正樹
美術監督/
吉原俊一郎

ちょうど劇場版第1作のDVD用リテイク終了後、第2作までの合間に製作。「劇場版第2作のPILOTのつもりで」との平野監督の言葉通り、劇場版のメインスタッフで作り上げた。正直言って、劇場第2作目よりも作画クオリティは上(笑)。そのできあがりのすばらしさのおかげで、ナイショですが、劇場用予告編やらなにやら、たくさんのフィルムに映像を流用させていただいた。ちなみにこの「パチスロ北斗の拳」から、美術をスタジオ美峰が担当。

それにしても、パチスロやらない人には見ることのできない映像って…。正直もったいないなぁ。

貧乏姉妹物語

2006年6月29日よりテレビ朝日で放送
全12話
原作/かずといずみ
シリーズディレクター/貝澤幸男
キャラクター・デザイン/高村和宏
総作画監督/上野ケン
美術デザイン/佐南友理
色彩設計/小日置知子

「リングにかけろ1 日米決戦編」の後番組。

雑誌紙上やWeb上でのスタッフ紹介欄等では、小日置知子と並んで僕の名前がクレジットされちゃってるんだけど、実はこの作品、僕は色彩設計の実作業には係わっていない。そもそもの最初から、この作品は小日置知子が設計を担当することになってて、でも彼女にとって初めてのテレビシリーズの色彩設計だったので、会社側が気を遣って、僕がサポートにつく、というポジションだったのだ。

で、まぁ、実際に設計やってないのに僕もクレジットされちゃうのもなんだか…、って話になって、急遽僕の名前をはずして、小日置のピンにしてもらったのだ。それが非常にタイミング的に微妙で、すでに連名でのスタッフ表が各社各機関に配布されちゃった後で、よって本編クレジット以外は僕の名前も載っちゃってます。それにしても、だ。東映アニメーションのサイトもいくら訂正申し入れても未だに修正されてない(苦笑)。やれやれ。

ちなみに僕がやったのは、設定の下準備だとか、連絡係だとか、叱咤激励役だとか、そんなこと。

というわけで、この作品、小日置知子の色彩設計としてのテレビ作品デビュー作となった。もっとも、OVA作品では、僕の尻ぬぐいさせちゃった「イリヤの空UFOの夏」っていうのがあるのだが。

正直言って、僕がやりたかったジャンルの作品である。でも、彼女が担当して大正解。あのふんわりほんわりとした色遣いは、彼女のセンスだからこそ出来た。僕だったら、あんなふうには上手く出来なかったと思う。

初めての体験てんこもりで、本人はなかなか辛いことも多かったと思う。でも、そんなことたちも糧として、更なる飛躍をして欲しいと切に願う。

PILOT DUAL DUEL

演出/芝田浩樹
作画監督/
美術監督/行信三・井芹達郎

PILOT作品。

某格闘家の所属事務所からの発注で、その某格闘家らが主人公という作品。世紀末、荒廃した地球を自らの格闘技術で謎の悪の軍団と渡り合っていく、的な話。世紀末?荒廃した地球?格闘技?あれ?どこかで最近、似たような劇場用作品のやった記憶が…(笑)。

うまくすれば、テレビシリーズ化、という話だが、ま、そのためにはいろいろと、根本的に考え直さなきゃならないコトが多いですなぁ(苦笑)。

聖闘士星矢 冥王ハーデス冥界編 後章

2006年冬よりスカパー!で放映
2007
年2月よりDVD発売
公式サイト http://www.toei-anim.co.jp/sp/seiya/
原作/車田正美
シリーズ構成/黒田洋介
シリーズディレクター/勝間田具治
キャラクターデザイン・総作画監督/荒木伸吾・姫野美智
美術監督/行信三・秋山健太郎

いわゆる「冥界編」後半の6本である。ゴールドセイント全員集合「嘆きの壁」の突破まで。

このシリーズは、全話数の色彩設計と色指定を担当。自分で原画見て、色指定入れて、上がりのチェックまでやって。ホント久々に全部自分の手でやりきれた「星矢」であった。

「この『星矢』という作品の中で自分には何が出来るのか?」という問いかけを、期間中ずっと自分の中で抱き続けていた。可能な限り積極的に関わって、自分に出来ることは全部やりきって、でも、できることとできないこと、その境目が自分の中でハッキリしてしまったのがこの6本であったのは事実。あんまりぐちぐち書いてると怒られそうだが(苦笑)、演出にしても作画にしても、残念ながらやはり「足りない」。

「+something」。原作は原作として、そこに描かれてることをただ順番に消化するんではなく、ワザにしろ何にしろ、かつて最初のテレビシリーズの時がそうだったように、もっともっといろんなことを考えて、足して行かなければならないんだと思います。『楽』な方法を採ってはダメなんだと。僕にとって、やっぱり『星矢』は特別な思い入れのある作品で、だからこその歯がゆさがいっぱいでありました。

そして、はたして最後のシリーズとなるだろう「エリシオン編」の行方は…。

劇場版 デジモンセイバーズ 究極パワーバーストモード発動!!

2006年12月9日より劇場公開
公式サイト http://www.digimon-movie.com/
監督/長峯達也
脚本/山口亮太
作画監督/山室直儀
美術監督/渡辺佳人

テレビシリーズには全然関わってなかった「デジモンセイバーズ」。だが、監督からのプッシュで僕が担当させてもらうことに。

劇場用作品ではあるんだが尺は30分ほどの短編。実はコレ「劇場版 ふたりはプリキュアSplash Star チクタク危機一髪!」の同時上映、っていうか前座の作品(苦笑)。興業の中心はあくまでも『プリキュア』(笑)。しかも尺も尺なので、本編中いろいろ説明めいたコトをやってる余裕はなく、よって『いきなり始まって、だーっと動かして、どっかーん!と「バーストモード」出して、で終わり、っていう作品にしよう』と長峯監督。ま、実際、そんな内容になった(笑)。

スタッフみんな以前から何度となくいろんな作品で一緒にやってきてる面々なので、最初から最後まで息もぴったり。楽しくいい仕事が出来た。

お話の舞台が横浜ということで、8月末の某日、監督の長峯氏、PD柴田氏、作監の山室氏、美監の渡辺氏、僕、ほか総勢7名でロケハンに行ってきた。シナリオの流れに沿って、横浜中華街からスタートし、山下公園から水上バスでみなとみらいに向かい、ランドマークタワーへ。ロケハンの最後はみなとみらいの観覧車。「どうしても観覧車からのショットが欲しいんだ!」と長峯監督。先頭切って観覧車乗り場へ。「え〜?いいジャン、乗らなくても〜。しかも男ばっかりで!」と、渡辺、山室、僕の3人は監督が一回転してくる間、観覧車下でまったりとお茶。そして最後はお約束、中華街でみんなでお食事であった(笑)。

この作品、ネガはフィルムレコーディングではなくキネコ方式であった。キネコ方式とは、本編のデジタルデータの原版を最初から最後まで画面上で再生し、それをフィルム用HDカメラで撮影(って言うのか?)してネガを作る。実は僕は昔からキネコにはあまりいい印象持ってなかったんだけど、いやいやどうして、最近の技術はすばらしく、とっても完璧に仕上がったのでした。

劇場版 「Dr.SLUMP Dr.マシリト アバレちゃん」

2007年3月公開
(劇場版ワンピース
エピソード・オブ・アラバスタと同時上映)
原作/鳥山明
監督/長峯達也
作画監督/山室直儀
美術監督/秋山健太郎
色指定/小日置知子

「劇場版ワンピース エピソード・オブ・アラバスタ」の同時上映、っていうか"前座"の短編アニメ。キャラクターのカラーデザインと色彩設計を担当。

「鳥山明の描いたマンガを動かす」というのがコンセプトであった。単なる「マンガ原作」のアニメ化という話ではない。「鳥山さんがこのために描き下ろした短編作品をマンガのコマ割りそのままに絵コンテ化してさらにアニメにする」というものであった。アニメの劇場公開に合わせて、Vジャンプかなにかの誌上でマンガの方も掲載する、という連動?企画であったのだった。

紙面のマンガが動いてるフンイキを作るにはどうしたらいいのか?

ということで、みんなで頭寄せ合って考えを出し合って、キャラの輪郭線(主線)をかなり太く加工してみたり、画面全体にテクスチャーっていうかフィルターで紙っぽい質感を乗せてみたり、とか。わずか3分ほどの短編であったからこそ、隅々まで気を配って手を入れられたのは確か。あれが30分とか、45分とかの長さ分量だったら、とてもじゃないけどやりきれなかっただろうなぁ。

出来上がった画面はいやはやどうしてかなりのフンイキでありました(笑)。

で、この作品、当然単独でDVD化とかってのはあり得ないし、同時上映の本体「劇場版ワンピース」のDVDにも権利関係もあるから入らないだろうし…公開時に観れなかった人にたくさん観てもらいたいなぁ。

いっそのこと、東映作品の劇場用作品公開の度、同じくらいの尺で新作何本か作れないかな?5本くらい作れば、DVDで出せるんでは?ムリか?(笑)

太極千字文

2007年4月より韓国KBSにて放映
シリーズ構成/
シリーズディレクター/芝田浩樹
キャラクターデザイン/香川久
メカニックデザイン/村俊太朗
美術デザイン/倉橋隆
美術設定/本間禎章
公式サイト

韓国国内向けのテレビアニメ。霊力を持つ二つの種族、虎族と竜族の闘いから融和というお話。全39話。「たいちせんじもん」と読むんだけど、当然韓国語的にはもうちょっと違う発音っていうか読み方っていうか。

この作品、韓国KBSとの共同企画(っていうのかな?)で、脚本、絵コンテ、キャラクター設定、美術設定、美術ボード、キャラクターカラーデザインまでを日本サイド(東映アニメーション)が担当し、実際の本編製作は韓国サイドで、という形の企画であった。で、僕はキャラクターのカラーデザインを担当。日本側はあくまでもプリプロダクションまで、ということで、実際の本編の作業には関わっていないです。

毎週1回、定例のミーティング。メインスタッフが集まって話数ごとの設定の打ち合わせ、上がりのチェックをしたり、また韓国から送られてきた本編の編集済みラッシュをチェックしてリテイク出ししたり、と、まぁ、そんな感じで約1年。なかなかおもしろい仕事でありましたよ。

アニメーションの本編の製作はJMアニメーションが担当。'07年3月にメインスタッフでソウルへ乗り込み、本編作業を担当してるスタッフと会って、いろいろな問題点の収拾をしてきたんですが、なんていうか、それまで微妙に日本側韓国側それぞれの立ち位置の認識にズレがあって、なんだか非常に疲れが溜まる2日間の集中ミーティングでありました。やっぱりねぇ、仕切り方の問題ですよ。某部署が両者の間に入って調整してたわけなんだけど、やっぱりね、製作の現場の話は現場の者同士が直接コンタクト取って調整していくべきで、温度差のあるセクションを介してだと無駄が多くストレスが溜まるだけでいいことないですな。

このお話の中で、虎族竜族それぞれに闘いのアイテムとして「漢字」を使って闘います。漢字の持つ意味、例えば「火」のカードをだして火を使う攻撃をしたり、「火」を重ねて使って「炎」としてより強いワザにしたり、と。で、商品展開として、そのカードを出すカードリーダーとかがおもちゃになっていくのですが、日本だとまずおもちゃメーカーからデザインが来て、それをアニメーション用にリライトして使うんですが、この「千字文」では、本編用にデザインしたアイテムのデザインをおもちゃメーカーの方が本編に合わせて作る、というやり方でありました。なので、メカ・デザイン担当の村君のデザインと僕が考えた配色そのまんまが製品になって市場で売られる、というちょっと嬉しい楽しい展開もありました。

村君のデザインといえば、虎族竜族それぞれが乗る戦闘艦のデザインが最高!残念ながらこれはおもちゃにならなかったみたいなんだけども、日頃あんまりフィギュアとかに興味のない僕ですが、これはもしあったら欲しかったなぁ。

残念ながらこの作品、今のところ日本での放送とかは未定ですが(日本語版でアフレコし直さなきゃならないし)、放送されれば村君のデザインも日本の人たちにも観てもらえるのになぁ。

劇場版 北斗の拳 ラオウ伝激闘の章

2007年4月公開
原作/武論尊・原哲夫
監督/
平野俊貴
脚本/堀江信彦・鴨義信・真辺克彦
キャラクターデザイン総作画監督/佐藤正樹
美術監督/
吉原俊一郎

1作目に引き続きの2作目である。

実はこの作品、当初2007年秋公開という予定だったのだ。「パチスロ北斗の拳」の製作の終わり頃、いきなりGW公開に繰り上がったのだ。なんとまぁ、実に半年ものスケジュール短縮である!もちろん僕らメインスタッフが、「パチスロ北斗の拳」なんて仕事受けてきた製作を呪ったのは言うまでもない(苦笑)。

今回は「別班パート」はなく(笑)、全編通しての色彩設計を担当。ちなみに担当の色指定さんは4人。みんな前作でも色指定や仕上げ担当してくれた強者たちで、もうね、ホントに彼らには頭が上がらない。なんせ、ほとんどテレビ作品並みのスケジュールで完成させなきゃならなかったのだ。

実はこの製作期間中追い込みの真っ最中に闘病中だった父が亡くなった。そんなこともあって、僕には思いで深い作品となったのだった。

ともかく、第3作目最終作も参加させてもらうことになるんだと思うが、まさに最後の「北斗」。今度こそガッツリと、そして今度も楽しく闘いたい。

劇場版 CLANNAD

2007年9月15日劇場公開
原作/Key/ビジュアルアーツ
脚本/中村誠
監督/出崎統
キャラクターデザイン/門之園恵美
作画監督/大西陽一
美術デザイン/河野次郎・大石のりこ
色彩設計補佐/秋元由紀

公式サイト

かなり有名(らしい←すみません、知らなかったもので…)なゲーム原作の作品。色彩設計、色指定を担当。

もうね、なんと言っても出崎監督でありました。まさか出崎監督の作品に携われるとは思いもよらなかったのです。しかも東映で(苦笑)。

出崎監督が上げてきた絵コンテをもとに、プロデューサーをはじめ、演出、キャラクターデザイナー、美術デザイナー、作画監督、美術監督、色彩設計などなど、メインのスタッフが全員参加して、大体10日〜2週間くらいごとに打ち合わせ。1回の打ち合わせで大体100〜150カットくらい。監督が絵コンテの内容を説明し、メインスタッフ全員で必要な設定の発注や内容的約束事などの確認など。そんな感じで絵コンテが進んで、絵コンテの最後まで打ち合わせ終わったところで、あとは助監督の廣嶋さん中心に本編の作業。編集から再び監督登場。で、V編までは監督がキッチリやってくれました。

常々思うんだけども、こういうタイプの長編作るときには、やっぱりレイアウトをキッチリとまとめてくれる人(ポジション)を設置していかないと、なかなか辛いことになっちゃうなぁ、と。美術設定はあっても、実はそれをちゃんと使えてないことが多くて、空間的にちぐはぐな画面に…。正直言って、結構辛いカットが多くて…。やっぱりね、レイアウトがまずシッカリしてることが画面の基本ですよ。

今回、色彩設計の補佐として、それまで「プリキュア」とかの色指定をされていた秋元由紀さんに手伝ってもらいました。細々とした小物たちやモブの学生たちとか、いろいろ面倒なところをまとめてもらいました。

この製作期間中、ちょうど追い込みの時期に父が亡くなりました。ちょうど桜の季節だったこともあって、本編冒頭の桜の並木のシーンにはちょっと感慨深いものがあります。

後にテレビシリーズが京都アニメーション制作で始まってますが、たぶん本来の原作のテイストはあっちなんだろうな。劇場版はシッカリ「出崎統ワールド」で、これはこれで良かったと思ってます。「ダンゴ大家族」はこっちの方が好きです(笑)。

聖闘士星矢 冥王ハーデス・エリシオン編

2008年3月よりスカパー!で放映
2008
年5月よりDVD発売
公式サイト http://www.toei-anim.co.jp/sp/seiya/
原作/車田正美
シリーズ構成/黒田洋介
シリーズディレクター/勝間田具治
キャラクターデザイン・総作画監督/荒木伸吾・姫野美智
美術監督/行信三・秋山健太郎

 
はたらキッズ マイハム組

2007年10月よりテレビ朝日で放映中
原作/東堂いづみ
シリーズ構成/山田隆司
シリーズディレクター/今澤哲男
キャラクターデザイン/山室直儀
総作画監督/梨澤孝司
美術デザイン/本多敬
公式サイト

「祝 ハピ☆ラキ ビックリマン」のあと番組だったんですが、これがなかなか企画がまとまらず、例によって放送開始3ヶ月前になってやっと骨組みが出来て…、という、この枠伝統のパターンで始まった作品(苦笑)。原作/東堂いづみでおわかりかと思いますが、東映アニメーションのオリジナル作品です。

この作品では僕は、メインキャラクターのカラーデザインのみ担当。事実上の色彩設計は#1の色指定でクレジットされてる豊永氏であります。僕としては豊永さんを色彩設計としてオープニングにクレジットしてもらえるようにPDに直談判したんだけれど、う〜む玉砕。本来的には、カラーデザイン/辻田邦夫、色彩設計/豊永真一であります。

あ、あと、DVDのパッケージは僕が担当してます。

事実上本編にはほぼノータッチだったんですが、なんかハッチャケたおもしろい作品に仕上がってて、ちゃんと関われなかったのがちょっと悔しいです。

金田一少年の事件簿スペシャル オペラ座館 最後の殺人

2007年11月12日読売テレビ系にて放送
原作/金成陽三郎・天城征丸・さとうふみや
 (少年マガジン/講談社)
監督/伊藤尚佳
脚本/島田満
キャラクターデザイン・作画監督/竹田欣弘
美術監督/秋山健太郎
色指定/秋元由紀

なんと「金田一少年の事件簿」ですよ。それも2本。

2本のスケジュールが接近していたので、こちらの方は設計のみ。ただし、もうね力入りまくりまして(笑)、この2本は僕的「金田一」の集大成のつもりで、正直、好き放題やらせていただきました。それをシッカリ受けて、色指定の秋元さんが実にいい仕事をしてくれました。 ちなみに1本目の本作は演出、作監、美監、みな「初金田一」のメンバーでありました。

で、舞台はあのオペラ座館、という(笑)。あれ?劇場版でもシリーズでも、どっちもラストに火災で消失したんじゃなかったけか?(苦笑)
でもまぁ、それは置いておいて、なかなか楽しい仕事でありました。放送枠が2時間SPで、実尺は約45分ほど。それに伴って、登場人物を削ったり再構成したりしてたんですが、やはり、少しばかり時間が足りないなぁ。やっぱり「金田一」は3週くらいに渡って放映するくらいがいいですね。

金田一少年の事件簿スペシャル 吸血鬼伝説殺人事件

2007年11月19日読売テレビ系にて放送
原作/金成陽三郎・天城征丸・さとうふみや
 (少年マガジン/講談社)
監督/宇田綱之介
脚本/島田満
キャラクターデザイン・作画監督/真庭秀明
美術監督/渡辺佳人

2本目の本作は、演出が旧作でも主力演出の一人でありました宇田君が担当。美術も旧作の渡辺さん、作監も旧作当時も参加されてた真庭さん、という「旧金田一」チームでありました(笑)。

この2本目も「閉ざされた場所トリック」な1本で、1本目とちょっとばかり似ちゃった感があって、それは残念。なんでこの2本だったのかなぁ?と。まぁ、2時間SP枠の放送って事で、短めに構成できる、ってところもポイントだったのでしょう。

で、こちらは、設計・色指定、すべて僕が担当しました。いやぁ、ホント楽しかった!満足の出来です!

決して「懐かしい同窓会気分」ではなく、「こうやっていいものを作って残せば、また新しく始めようって話になるよ!」
スタッフみんなのモチベーションはそこにあったように思います。

こんな感じで、年1回くらいのペースでSPやってもらえないかなぁ?と、切に望んでいます。

墓場鬼太郎

2008年1月10日よりフジテレビ「ノイタミナ」にて放映
原作/水木しげる
シリーズ構成/成田良美
シリーズディレクター/地岡公俊
キャラクターデザイン・総作画監督/山室直儀
美術ボード /倉橋隆
美術設定/本間禎章
CGディレクター/森田信廣
公式サイト

ある日スタジオの僕の机に、この『墓場鬼太郎』の原作本全巻(文庫本)がいきなり積まれておりました。それまでこの『墓場鬼太郎』の原作って読んだことがなかったのです。それが最初。

もうこの作品についてはいろんなところで話尽くしちゃったので(笑)。

いつも思うんだけど、「こういうものを作って残すんだ!」と気持ちがひとつになってる現場は楽しいです。しかも結果がちゃんと付いてきたし、スタッフのモチベーションも最高でした。こういう作品にはなかなか出会えないもので、ほんと、感謝です。

シリーズのオンエアを高視聴率で終えられて、またおかげさまでいろんなところでいろんな賞をいただきました。それも感謝感謝であります!

実はこの『墓場鬼太郎』、映画化のお話が出ておりました。テレビ全13話の再編集に加えて残ってる原作のエピソードの映像化、という予定でありました。監督も角銅氏で。2009年の正月第2弾の封切り予定であったのです。が、結局は中止に。なんで立ち消えになったのか?DVDが思ったほど売れなかったから?うう〜む…。

劇場版 北斗の拳 ケンシロウ伝ZERO

2008年9月公開
原作/武論尊・原哲夫
監督/
平野俊貴
脚本/堀江信彦・鴨義信・真辺克彦
キャラクターデザイン総作画監督/佐藤正樹
美術監督/
吉原俊一郎

劇場版3部作、その最終章は、意外な展開で意外なお話に変貌していった。

ともかく、2作目の雪辱を果たすべく、早々に参加を決めて満を持して臨んだハズだったのだけれども、2転3転したプロットとシナリオ、さらには「付け足しのシーン」と来て、どうにも気持ちが削がれていっちゃったのは事実。それでもなんとかやりきらねば、と、頑張ってはみたものの…。

言いたいことは山ほどあるんだけど、ちょっと憚られることも少なくないので書きません(苦笑)。あと10年くらいしたら、書いてもいいかなぁ。まぁ、今となってはもはやどうでもいいですが(苦笑)。

結局、事実上現場は空中分解状態で、僕は早々にスタジオから撤収。これが「北斗の拳」との最後になったのでありました。

たぶん、僕にとって、近年最高にしょっぱい仕事になってしまいました。

集英社ジャンプツアーズ ドラゴンボール

2008年秋集英社ジャンプツアーズで上映
原作/鳥山明
脚本/小山高生
監督/上田芳裕
キャラクターデザイン・作画監督/山室直儀
美術監督/倉橋隆

集英社のジャンプ掲載の作品のアニメを幾つかまとめて、それを全国いろんなところで上映する、という「ジャンプツアーズ」という企画があって、その中の1本として新作を作りました。僕としては、久々の「ドラゴンボール」。

CMとかの小さい作品を除いて、実はこれがデジタル彩色になって初めての「新作」でありました。なので、登場するキャラたちのデジタルな色データがまったくなくって、キャラ表のスキャンから始める、という次第。でもそれがかえって新鮮で、楽しい作業でありました。

この作品「Z」ではないところがミソ。「Z」では戦いがメインになってしまって、確かにそれはそれでかっこいいんだけど、でも「Z」ではない「ドラゴンボール」には、なんとも「のほほん」とした柔らかな「間尺」があって、この作品、そんな内容に仕上がっています。

…それにしても、まさか「Z」を再編集版とはいえ再放送で堂々とやっちゃうとは、いや、ホンのちょっとウワサはあったけども、この時には夢にも思わなかったですよ。

キャシャーンSins

2008年10月よりMBS系で放送
原作/竜の子プロダクション
監督/山内重保
シリーズ構成/小林靖子
キャラクターデザイン・総作画監督/馬越嘉彦
美術監督/李凡善
撮影監督/棚田耕平
制作/マッドハウス

これについてはもうWEBアニメスタイル「色彩設計おぼえがき」で語り尽くしちゃってるので、今更書くこともそうないのですが、まぁ、この作品での体験の日々が、僕にとうとう東映アニメーションを辞める決心をつけさせてくれた、そんな作品です。

シリーズ全編の色彩設計と各話色指定(#1,2,4,15,18,24)、オープニング色指定を担当。

先の「劇場版・聖闘士星矢天界編序奏」を最後に東映アニメーションを去った山内監督と、とにかく一緒に仕事がしたい。と、その一念で参加させていただいた「キャシャーンSins」でありました。この作品のおかげで、たくさんの新しい仲間ができ、たくさんの懐かしい人たちとの再会がありました。

残念ながらDVDはあんまり売れなかったみたいだけど、この作品はここまでの僕のキャリアの最高傑作となりました。

マリー&ガリー0話(PILOT版)

2008年11月8日NHK教育で放送
原作/東堂いづみ
脚本/山田隆司
絵コンテ・演出/松本理恵
キャラクターデザイン・作画監督/馬越嘉彦
美術/増田竜太郎
色指定/秋元由紀

東映アニメーションにギャルマト・ボグダンという、謎の外国人プロデューサーが居りまして、彼が「NHKとおもしろそうなのをやるから辻田さんやってくれませんか?」とお話を持ってきてくれました。「えっ?NHK教育?えっ?科学アニメ??えっ?PILOT版いきなり放送しちゃうの???」と僕。こんなヘンなの、やらないではいられません!(笑)

尺も尺だし、ホントは全部色指定までやりたかったんだけども、会社側が今度もいい顔をせず、それならってことで、信頼の置ける秋元さんに色指定をお願いしました。なので僕はキャラクターの色彩設計まで。

とにかく秋元さんが頑張ってくれました!演出の松本さんとふたり、ずっとマンツーマン状態でねばってねばって、最後まで作り込んでくれました!

実はこの時点で会社側と、テレビシリーズになった時には秋元さんに色彩設計も全部お願いする、という話になってたハズなんだけど、結局はいつものテノヒラガエシ。やれやれ。

松本さんとは今回が初めてだったんだけど、いやぁ、いいですよ!彼女。キラキラといいものを持ってます。ヘンなヤツだけど。幾原君が登場した時みたいな印象。「絶対なにか一緒にやろうな!」と松本さんと約束してる僕です。

劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!

2008年12月全国東映系で公開
原作/水木しげる
監修/京極夏彦
脚本/三条陸
監督/古賀豪
キャラクターデザイン/上野ケン
作画監督/浅沼昭弘
美術監督/本間禎章
CG監督/森田信廣

2009年の東映系正月映画という栄えある作品。アニメーション作品が東映邦画の正月映画を飾るなんてのはこれまで無かったこと。それだけ期待されたタイトルでありました。

僕は色彩設計と色指定を担当。これについてもWebアニメスタイル「色彩設計おぼえがき」であらかた書いちゃってるんで、そっちも読んでみて下さい。

あんまり書くと悪口になっちゃいそうでビミョウなんだけど、正直言って、画面密度は劇場用作品のそれではなかったです。画面処理的にも美術の完成度も正直言って「劇場版」と言うには難が。後日Blu-ray版が発売されて僕もそれを見ましたが、ちょっと見るに堪えない画質でありました。

内容的にも地域別ヴァージョンとかご当地ネタとか「イベントフィルム」的な印象が強く、企画自体に「テレビシリーズの延長線上でお祭りにしよう!」みたいな部分がうかがえちゃったのはどうかと。で、そういう空気はやっぱり観に来てくれた人にすぐに伝わっちゃう。ま、それを言い出したら、そもそもの5期テレビシリーズの企画戦略はどうだったのか?という話にまで行くよなぁ、と。

いろいろ考えちゃうのが、じゃあテレビシリーズの劇場版を製作・公開するってなんなのだろうか?ということ。この「日本爆裂!!」に関していえば、テレビシリーズも通して、企画側の意図するファン層と劇場に脚を運んでくれる層が劇場版に求めてるモノとが大きくズレちゃってた、そう思うのであります。

興業の仕掛け的にも東映に絶対ミスがあったし、初動で躓いたままいわゆる惨敗という形に終わってしまいました。なんとも残念!